再建築不可物件を賃貸目的で購入する前に――プロが教える実務チェックリスト
ハーバルホーム株式会社 湯淺貴裕(宅地建物取引士/不動産コンサルティングマスター)
「安く買って直して貸す」――机上では魅力的に見える再建築不可物件ですが、法的制約・改修の難易度・出口戦略の不確実性により、思わぬコストと時間を要することがあります。特に2025年の建築基準法改正(いわゆる4号特例の縮小)以降は、構造に関わる改修のハードルが上がる場面が増えます。本稿では、購入前に見るべき要点と、「この条件なら検討可」の目安をチェックリスト形式で整理しました。
まず押さえるべき主要リスク
① 再建築できない
- 接道義務不備等により建替え不可。将来は補修のみで延命する前提。
- 解体すると資産価値が大きく低下しやすい。
② 改修の自由度が低い
- 構造に触れる改修は建築確認が必要になり得る。
- 確認が降りないケースや、大幅な減築・補強を求められることも。
③ 融資と売却の難しさ
- 金融機関の融資が付きにくく現金前提。
- 出口(売却)で買い手が限定されやすい。
④ それでも検討できる場合目安
- 軽微な内装中心で賃貸化できる建物状態。
- 賃貸需要・家賃が明確、購入価格が十分に安い。
- 接道改善・セットバック・隣地交渉などの改善余地がある。
購入前チェックリスト(自己診断)
※「はい」を多く積み上げられるほど、検討に値します。最終判断は個別物件の実地調査と行政・設計者確認が前提です。
A. 法令適合性・敷地条件
B. 建物状態・改修の難易度
C. 賃貸需要・収支
D. 資金計画・与信
E. 出口戦略






































