【不動産のヒント】他の相続人にお金を払ってまで不動産を取得すると、損をするかもしれません。



相続で支払った「代償金」

売却時の税金計算で“損をするケース”があることをご存じですか?

相続のご相談でよくあるのが、
「不動産は長男が相続し、他の相続人には代償金を支払う」
という方法です。

一見すると公平で、話もまとまりやすい方法ですが、
将来その不動産を売却する際、思わぬ税負担が生じることがあります。

その原因が、
👉 代償金は、原則として不動産の取得費に加算できない
という点です。


取得費とは何か、簡単におさらいします

不動産を売却したときの税金(譲渡所得税)は、

売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)= 譲渡所得

という計算で決まります。

このうちの「取得費」とは、

  • 親がその不動産を購入した金額
  • 建築費
  • 購入時の仲介手数料など

が基本になります。


代償金は「自分が払ったのに」取得費にならない?

ここが、一般の方が一番誤解しやすいポイントです。

相続人の一人が不動産を取得する代わりに、
他の相続人へ代償金を支払った場合、

👉 その代償金は、不動産を買ったお金とは扱われません。

税務上は、

  • 「相続によって取得した不動産」
  • 「代償金は相続人間の清算」

と整理されるため、
売却時の取得費には原則として加算できないのです。


何が問題になるのか

例えば、

  • 親がかなり昔に安く購入した不動産
  • 取得費の資料が残っていない
  • 相続時に高額な代償金を支払っている

このようなケースでは、

実感としてはお金を払っているのに、
税金計算上は「ほぼゼロ円で取得した不動産」

として扱われてしまうこともあります。

結果として、

  • 売却時の譲渡所得が大きくなる
  • 想定よりも高い税金がかかる

という事態につながります。

ちなみに、代償金の支払いに融資を利用していたとしても、その金利すら経費とはなりません。


「分け方」を決めるときに、必ず考えておくべきこと

相続の場面では、
「誰がどれだけ相続するか」に意識が向きがちですが、

不動産については、
“将来売るとき、税金はどうなるか”まで含めて考えること
がとても重要です。

代償分割が必ず悪いわけではありません。
しかし、

  • 不動産の取得時期
  • 取得費の有無
  • 将来の売却予定

によっては、別の分け方の方が有利になるケースもあります。


不動産相続は「あとから修正」がききません

相続の方法は、
一度決めてしまうと、あとから簡単には変えられません。

特に不動産は、

  • 税務
  • 法務
  • 実際の売却実務

が密接に絡みます。

「とりあえず今回はこの形で」
と決めてしまう前に、
不動産実務を理解している専門家に一度相談することが、
結果的にご家族を守ることにつながります。


まとめ

  • 代償金は、原則として取得費に加算できない
  • 売却時の税金が想定より高くなることがある
  • 相続時点で“将来の売却”まで考えることが重要

相続不動産について不安や疑問がある方は、
早めにご相談ください。