【不動産のヒント】任意後見と法定後見の関係  法定後見って何でしょう?



ご高齢などの理由で、判断能力に不安のあるご親族様などを抱えているお客様からの相談が増えてまいりましたので、今回は、後見について解説していきます。

相談内容

「母が知人Aと任意後見契約を結んでAが後見人として登記されています。でも、判断能力が落ちてきたので、別の人による成年後見(法定後見)に変更できないか、家庭裁判所に申立ても考えています。可能でしょうか?」


お答え

  1. 任意後見契約が登記されている間は、原則として法定後見を申立てできません。
     誰を後見人にするかを本人が選ぶ「任意後見」は、ご本人が判断能力がある時点で契約して登記まで行ったもので、これが有効なうちは、裁判所が別の後見人を選ぶ法定後見(成年後見等)の開始は原則できないことになっています。
  2. ただし、例外的なケースもあります。
     「本人の利益のために特に必要」と裁判所が認めた場合に限り、例外的に法定後見の開始を裁判所へ申立てることが可能です。

任意後見と法定後見について表にまとめてみました。


制度の基本:任意後見 と 法定後見 の違い

制度概要特長
任意後見判断能力があるうちに、将来のために信頼できる後見人を本人自身が契約で選ぶ制度。本人の意思を尊重できる。
法定後見判断能力が低下したときに、家庭裁判所が後見人を選ぶ制度(成年後見・保佐・補助の3種)。第三者の目で本人を保護できる。
  • 成年後見(任意・法定いずれも)は、判断能力が失われたと認められた場合にのみ設定できる、もっとも支援の強い制度とお考えください。
  • 保佐・補助:後見ほどでもない場合(判断能力が部分的または軽度に低下した場合)に使われ、必要な支援を柔軟に受けられる制度として保佐人や補助人もあります。

不動産業者としての視点:各ご家庭へのアドバイス

  • まずは現状の確認から
     任意後見契約が有効な状態か(登記・契約内容・判断能力の状態など)、専門家(弁護士・司法書士)とともに確認しましょう。
  • 今後の方針を相談することが大切です
     「判断能力がさらに低下すれば法定後見が必要か?」、「その場合に備えてどのような支援があるか?」を早めに整理することが安心につながります。
  • 不動産処分などの大きな決定にも影響します
     たとえば、住居の売却や改築など「居住用不動産の処分」は、成年後見人であれば裁判所の許可が必要です。制度の違いによって手続きが大きく変わるため、早めの体制整備が重要です。

まとめ


ご不安な点や事例に応じた具体的なご提案も可能ですので、お気軽にハーバルホームまでご相談ください。