【不動産のヒント】空き家をどうしようと悩んだら、こんな風に考えましょう 5つの選択肢があります。


空き家対策コラム

空き家、そのままにしていませんか?
後悔しない「活用」と「処分」の選び方ガイド

実家の相続や転勤・住み替えなどをきっかけに、誰にでも起こりうる「空き家」の問題。売る、貸す、活かす、手放す――迷ったときに整理して考えられるよう、判断材料と費用の目安、簡単な診断チャートをまとめました。

総務省の令和5年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家数は約899万戸と過去最多を更新しました。この5年ほどの間にも増加が続いており、相続をきっかけに「実家が空き家になった」というご相談は、私たちのもとにも年々増えています。

「いつか片づけよう」「とりあえず様子を見よう」と考えているうちに、建物の傷みは進み、選べる選択肢は少しずつ狭くなっていきます。この記事では、空き家を所有する方が後悔しない判断をするために知っておきたいポイントを、表と簡単なチャートを使って整理しました。

まず知っておきたい、「放置」がもたらす3つのリスク

結論から言うと、空き家は「何もしない」という選択が一番コストの高い選択になりがちです。理由は主に次の3つです。

空き家を放置した場合に生じやすいリスク
リスク 内容
① 税負担の増加 空家等対策特別措置法の改正により、従来の「特定空家」に加えて「管理不全空家」も指定対象になりました。指定を受けると固定資産税の住宅用地特例(最大1/6の軽減)が解除され、税額が実質的に最大6倍程度になる可能性があります。
② 資産価値・安全性の低下 空気の入れ替えや通水が行われない建物は劣化が早く進みます。雨漏りやシロアリ被害、倒壊・火災のリスクが高まるほか、防犯・景観面で近隣とのトラブルに発展することもあります。
③ 選択肢が狭まる 傷みが進むほど「そのまま貸す・売る」ことが難しくなり、最終的に解体前提の売却しか選べなくなるケースが多くなります。判断を先延ばしにすること自体が、コストのかかる選択になり得ます。
ワンポイント: 「管理不全空家」は、特定空家ほど深刻でなくても、放置すれば特定空家になるおそれがあると市区町村が判断した段階で指定されます。「うちはまだ大丈夫」と思っていても対象になり得る点に注意が必要です。

空き家の選択肢は、大きく5つに整理できます

空き家との向き合い方は、突き詰めると次の5パターンに集約されます。それぞれに向き・不向きがあるため、優劣ではなく「自分の状況に合っているか」で考えることが大切です。

空き家の選択肢比較(目安)
選択肢 初期費用の目安 スピード感 手間 向いているケース
売却 低い(測量・解体が必要な場合は数十万〜) 早い(数ヶ月〜半年程度) 少ない 維持の負担をなくしたい/住む・貸す予定がない
賃貸に出す 中〜高(リフォーム費用が発生することが多い) やや時間がかかる 継続的にかかる 将来使う可能性を残したい/立地が良く需要が見込める
リフォーム・建替えて活用 高い(数百万円規模になることも) 時間がかかる 多い 思い入れが強い/自己利用や賃貸併用を考えたい
解体して土地活用・売却 中(解体費用が発生) 中程度 少ない 老朽化が進んでいる/建物に活用価値がない
管理を専門業者に委託 低い(月額費用のみ) 即日〜 少ない 結論を急がず、資産価値を保ったまま検討したい

※ 費用・期間は物件の状態や立地、業者によって大きく変動します。あくまで検討の目安としてご参照ください。

費用の目安を知っておく

「解体」や「管理委託」は、具体的な金額のイメージがないと検討しづらいものです。参考までに一般的な相場をまとめました。

解体費用の目安(構造・坪数別)

木造・鉄骨造・RC造の解体費用総額イメージ
延床面積 木造(坪単価3〜5万円) 鉄骨造(坪単価5〜7万円) RC造(坪単価6〜8万円)
30坪 90万〜150万円 150万〜210万円 180万〜240万円
40坪 120万〜200万円 210万〜270万円 240万〜300万円
50坪 150万〜250万円 270万〜330万円 300万〜360万円

立地条件(重機搬入の可否、隣地との距離)やアスベスト有無などにより変動します。自治体によっては解体費用の一部を補助する制度(工事費の1/3〜1/2、上限20万〜45万円程度など)もあるため、着工前に自治体窓口へ確認することをおすすめします。

管理委託サービスの費用目安

空き家管理代行サービスの月額費用イメージ
頻度・内容 月額目安
月1回の巡回・簡易点検(郵便物確認、通風、外観チェックなど) 5,000円〜11,000円程度
月1〜2回+室内点検・簡易清掃 9,000円〜15,000円程度
セキュリティ・見守り機能付きプラン 11,000円〜1万数千円程度

サービス内容や物件タイプ(戸建て/マンション)によって幅があります。放置した場合の資産価値低下や税負担増と比べたうえで、判断材料の一つにしてください。

あなたに合った選択肢を確認する、かんたん診断チャート

「結局、自分の場合はどれが向いているの?」という方のために、はい・いいえで進める簡易診断をご用意しました。5つの質問に答えるだけで、検討の出発点が見えてきます。(あくまで簡易的な目安です。最終的な判断は専門家にもご相談ください)

※ 回答は下に進んでいく形で表示されます。前の質問の答えを変えたい場合は、その質問の別の選択肢を選び直せば、続きの内容も自動的に更新されます。











Q1

将来、ご自身やご家族がこの家に住む・使う予定はありますか?
(別荘、二拠点生活、老後の住まいなど)


診断結果

A:維持して自己活用

今後使う予定があるなら、手放す必要はありません。ただし「使わない期間」の管理をどうするかが課題になります。

  • 使わない期間は、通風・通水などの定期的なメンテナンスを
  • 二拠点生活や賃貸併用など、使いながら収益化する方法も検討を
  • 将来的なリフォーム時期・費用感を早めに把握しておくと安心です

Q2

建物は、大きな修繕をしなくても人に貸せる状態ですか?
(深刻な雨漏りや傷み、耐震不足がない)


Q3

家賃収入のために、リフォームや入居者募集などの手間・初期費用をかけられますか?


診断結果

B:賃貸に出す

建物の状態が良く、手間をかけられるなら、賃貸化で継続的な収入源にできる可能性があります。

  • 周辺の賃貸需要・家賃相場を確認しましょう
  • リフォーム費用は回収までの期間も含めて試算を
  • 管理会社への委託で、入居者対応の手間を減らすことも可能です
診断結果

C:売却する

手間をかけずに維持負担を手放したい場合は、現状のままでの売却が現実的な選択肢です。

  • 複数の不動産会社に査定を依頼し、相場観をつかみましょう
  • 解体してから売るか、現状のまま売るかは物件次第で判断を
  • 売却時期によっては税制優遇が使える場合もあるため、あわせて確認を

Q4

その家を相続してから、まだ3年以内ですか?
(税制の特例が使える期限内かどうかの目安です)


診断結果

C:売却する(税制優遇の活用を検討)

相続から3年以内であれば、「相続空き家の3,000万円特別控除」の対象になる可能性があります。期限や要件を確認したうえで、早めの売却を検討する価値があります。

  • 対象は2027年12月31日までの譲渡(令和5年度税制改正で延長)
  • 耐震基準を満たすか、耐震改修・解体を行うことが条件(売却後の改修でも一定要件で対象に)
  • 要件の詳細は次の章、または税理士・自治体窓口でご確認ください

Q5

今後1〜2年、建物を維持する時間や費用の余裕はありますか?


診断結果

D:解体して更地に

維持する余裕がなく、建物の傷みも進んでいる場合は、解体して更地として売却・活用する方向が現実的です。

  • 解体費用の見積もりは複数社で比較を
  • 自治体の解体補助金が使えないか事前に確認を
  • 更地にすると固定資産税の住宅用地特例がなくなる点は考慮が必要です
診断結果

 

 

 

 

 

E:管理会社に委託しながら検討する

今すぐ結論を出す必要はありません。まずは管理を専門業者に任せて資産価値と安全性を保ちながら、今後の方針をじっくり考えましょう。

  • 月5,000円台からの巡回サービスもあります
  • 「特定空家」「管理不全空家」への指定を防ぐ効果も期待できます
  • 管理をしながら売却・賃貸のタイミングを見極める方も多くいます

 

見逃せない税制優遇:相続空き家の3,000万円特別控除

相続した実家を売却する場合、一定の要件を満たすと譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。主な要件は次の通りです。

  • 相続開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること
  • 被相続人が一人で居住していた家屋であること(老人ホーム入居等、一定の場合は例外あり)
  • 譲渡時に耐震基準に適合しているか、耐震改修または取壊しを行うこと(2024年の改正で、売却後翌年2月15日までの改修・取壊しでも対象になるよう要件が緩和されました)
  • 対象となる譲渡の期限は2027年12月31日まで(令和5年度税制改正で延長済み)
ポイント: 適用には他にも細かな要件があります。「相続から3年」という期限を過ぎると使えなくなるため、対象になりそうな場合は早めに専門家へ相談することをおすすめします。

まとめ:判断を先送りにしないことが、いちばんの対策です

空き家対策に「絶対の正解」はありません。ご家族の状況、建物の状態、地域の需要によって最適な答えは変わります。大切なのは、放置したまま時間だけが過ぎてしまう状態を避け、今の状況を整理して次の一手を決めることです。

最後に、簡単セルフチェック





チェックが少なかった方も心配はいりません。まずは現状を確認するところから始めれば十分です。

空き家のご相談は、お気軽に

「うちの場合はどうしたらいい?」という個別のご相談も承っております。
売却・賃貸・管理委託など、状況に合わせてご提案いたします。

無料相談はこちらお問い合わせまたは来店予約をお選びください

参考:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」、国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法」関連資料、国土交通省「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」関連資料、各種解体・空き家管理サービス事業者の公表相場情報をもとに、当社にて独自に構成・作成しています。個別の税務・法務判断については税理士・自治体窓口等の専門家にご確認ください。