「相続税対策って、結局なにから考えればいいの?」
上尾市・桶川市周辺で相続や不動産のご相談を受けていると、いちばん多いのがこのご質問です。生前贈与、遺言書、不動産の活用…方法はたくさんありますが、今回は「適用される相続税の税率を一段下げる」という、シンプルで効果の大きい考え方を、不動産の専門家の立場から図解でやさしく解説します。
この記事の目次
1. 相続税は「段階的に税率が上がる」しくみ
相続税は、財産が多いほど高い税率がかかる「超過累進税率」という方式です。税率は10%から最高55%まで、8段階に分かれています。
ポイントは、税率が「財産全体」ではなく「法定相続分で分けた後の金額(各相続人の取り分相当額)」で決まることです。つまり、遺産の総額を少し減らすだけで、各相続人の取り分が一つ下の段階に入り、税率がガクッと下がることがあります。
相続税の速算表(2026年10月時点)
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | - |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
※基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」。遺産からこれを差し引いた残り(課税遺産総額)を、法定相続分で分けて上の表に当てはめます。
2. 税率が一段下がるとどれだけ違う?シミュレーション
具体的な数字で見てみましょう。お子さま2人が相続人(配偶者はすでに他界)というご家族で、財産の大半が預貯金というケースを想定します。
| 対策前 預貯金のまま | 対策後 預金1億円を収益不動産へ | |
|---|---|---|
| 相続財産の評価額 | 2億8,200万円 | 2億2,200万円 |
| 基礎控除(相続人2人) | ▲4,200万円 | ▲4,200万円 |
| 課税遺産総額 | 2億4,000万円 | 1億8,000万円 |
| 1人あたりの取得金額 | 1億2,000万円 | 9,000万円 |
| 適用される税率 | 40% | 30% |
| 1人あたりの税額 | 3,100万円 | 2,000万円 |
| 相続税の総額 | 6,200万円 | 4,000万円 |
約2,200万円も軽くなる計算です
※計算は考え方を説明するための単純化したイメージです。収益不動産の評価額(1億円→4,000万円)は物件の種類・立地・建物割合・入居状況によって大きく変わります。借入金、小規模宅地等の特例、各種税額控除は考慮していません。また、取得から5年超経過後に相続が発生した前提です(後述の2027年改正に関係します)。
3. 方法①:預貯金を不動産に組み替える
なぜ不動産に変えると評価額が下がるのでしょうか。理由は、相続税での財産の「測り方」が違うからです。
評価が下がる3つの仕組み
| 仕組み | 内容 |
|---|---|
| 路線価評価 | 土地の評価に使う路線価は、公示価格(時価の目安)のおおむね80%の水準。預金より約2割有利です。 |
| 貸家建付地・貸家評価 | 人に貸している土地・建物は、自由に使えない分だけ評価が下がります。土地は借地権割合×借家権割合×賃貸割合の分、建物は借家権割合(30%)分の減額です。 |
| 小規模宅地等の特例 (貸付事業用宅地等) | 要件を満たせば、賃貸物件の敷地のうち200㎡までの部分について、評価額を50%減額できます。 |
🏠 不動産のプロからひとこと
評価額が下がることばかりに目が行きがちですが、本当に大切なのは「その物件が長く収益を生み続けるか」です。空室が続いたり、大規模修繕で手残りが減ったりすれば、節税分以上に損をしてしまいます。上尾市・桶川市・伊奈町エリアでも、駅距離や周辺の賃貸需要によって物件の実力は大きく変わります。購入前に、賃料相場・空室率・将来の売却しやすさまで確認することをおすすめします。
4. 方法②:値上がりしそうな財産を早めに贈与する(相続時精算課税)
国土交通省の地価公示によると、全国の地価は上昇傾向が続いています。地価が上がり続けるなら、「安いうちに渡しておく」ことも有効な対策になります。そこで活用したいのが相続時精算課税制度です。
相続時精算課税のポイント
- 60歳以上の父母・祖父母から、18歳以上の子・孫への贈与で選択できる
- 毎年110万円の基礎控除に加え、累計2,500万円まで贈与税がかからない(超えた部分は一律20%)
- 相続のときは、贈与した財産を「贈与したときの価額」で相続財産に足し戻して精算する(年110万円の基礎控除部分は足し戻し不要)
- 支払った贈与税は、相続税から差し引ける
「贈与したときの価額」で固定される、という点がミソです。値上がりが見込まれる土地を早めに贈与しておけば、その後の値上がり分には相続税がかかりません。
たとえば評価額3,000万円の土地を今贈与すると、贈与税は(3,000万円-110万円-2,500万円)×20%=78万円。10年後に土地が4,500万円に値上がりしていても、相続財産に足し戻すのは2,890万円です。払った78万円は相続税から差し引けます。
相続はいつ起こるか選べませんが、贈与は「何を・いつ渡すか」を自分で選べる。ここが生前対策ならではの強みです。
5. 【重要】2027年1月からのルール変更と注意点
⚠ 賃貸不動産の評価方法が見直されます
令和8年度税制改正大綱を受け、2027年(令和9年)1月1日以後の相続・贈与から、亡くなる(贈与する)前5年以内に購入・新築した一定の賃貸不動産は、路線価ではなく「取引価額」をもとに評価されることになります。ただし、課税上の弊害がなければ「取得価額を基に地価変動等を考慮した額の80%」で評価できるとされており、2026年9月には国税庁から通達案も公表されています。また、不動産小口化商品は取得時期にかかわらず時価ベースの評価となります。
つまり「相続直前に駆け込みで賃貸物件を買う」対策は効果が大きく薄れます。一方で、取得から5年を超えて保有している物件は従来どおりの評価が見込まれ、80%評価でも預金よりは有利です。だからこそ、元気なうちに、時間をかけて準備することがこれまで以上に重要になりました。
そのほかの注意点チェックリスト
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| ☑ 小規模宅地等の特例の「3年ルール」 | 相続開始前3年以内に新たに貸し付けを始めた土地は、原則として貸付事業用の特例が使えません。 |
| ☑ 行き過ぎた節税は否認リスク | 高齢になってから多額の借入で不動産を買い、評価額を極端に下げたケースで、路線価による評価が認められなかった最高裁判決(令和4年4月)があります。 |
| ☑ 精算課税は取り消せない | 一度選ぶと、その贈与者からの贈与は暦年課税に戻せません。贈与した土地には小規模宅地等の特例も使えません。 |
| ☑ 贈与は登記費用・取得税が割高 | 不動産の贈与は、相続に比べて登録免許税が高く、不動産取得税もかかります。 |
| ☑ 値下がり・空室リスク | 贈与後に値下がりすると、高い価額で足し戻すことになり逆効果。賃貸物件は空室や修繕費も考慮が必要です。 |
| ☑ 分けやすさ・納税資金 | 預金を不動産に変えすぎると、相続人間で分けにくく、納税資金が不足することも。バランスが大切です。 |
まとめ:対策は「早く・丁寧に・プロと一緒に」
- 相続税は8段階の累進税率。各相続人の取り分を一つ下の段階に下げられれば、税額は大きく減る
- 預貯金を収益不動産に組み替えると、評価額が下がり税率の引き下げにつながる
- 地価上昇局面では、相続時精算課税で値上がり前に財産を移すのも有効
- 2027年1月から、相続前5年以内に取得した賃貸不動産の評価が厳しくなる。駆け込み対策ではなく計画的な準備を
相続対策は、税金・法律・不動産のすべてが絡み合います。税額の最終判断は税理士と連携し、「どの不動産を持つべきか」「売るべきか・残すべきか」は不動産の専門家に相談するのが近道です。
よくあるご質問
Q. 相続税がかかるかどうか、どうやって判断すればいいですか?
A. まず「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除額と、財産の合計(不動産は路線価等で評価)を比べます。財産が基礎控除額を超える場合は申告が必要になる可能性があります。ご自宅や土地の評価額の目安は、不動産会社でもお調べできます。
Q. 今から賃貸物件を買っても、もう節税にならないのですか?
A. 2027年以降は、購入から5年以内の相続だと評価減の効果が小さくなります。ただし5年を超えれば従来の評価が見込まれ、5年以内でも取得価額の80%程度での評価が認められる場合があります。年齢や健康状態、物件の収益性を踏まえて判断することが大切です。
Q. 相続時精算課税と、毎年110万円の暦年贈与はどちらがいいですか?
A. 値上がりが見込める土地などをまとめて渡したい場合は精算課税、現金を少しずつ長期間渡したい場合は暦年贈与が向いていることが多いです。ただし暦年贈与は亡くなる前7年以内の贈与が相続財産に加算されるなど、制度ごとに注意点があります。税理士とシミュレーションのうえ選びましょう。
上尾市・桶川市周辺の相続不動産のご相談は
ハーバルホームへ
不動産コンサルティングマスターが、不動産の評価・活用・売却まで、税理士・弁護士とも連携してトータルにサポートします。「うちは相続税がかかる?」といった段階からお気軽にご相談ください。
無料相談・お問い合わせはこちら参考:公益社団法人全日本不動産協会「月刊不動産」2026年9月号「不動産お役立ちQ&A<相続相談>」(税理士 飯田隆一氏)、国土交通省「令和8年地価公示」、財務省「令和8年度税制改正の大綱」、国税庁「貸付用不動産の評価について(法令解釈通達案)」
※本記事は2026年10月時点の制度に基づく一般的な解説です。個別の税額や適用可否は税理士にご確認ください。






































